建築学生インタビュー Vol.4『課題をこなしていくようなインターンではなく、現場の人の声が聞きたい』

地方公務員への就職を決められた高橋さん。

就職を間近に控えた大学院2年生のいま、学校生活、将来の進路、建築業界の印象についてお聞きしました。


インタビュー対象者プロフィール

【名前】高橋 史弥

【年齢】23歳

【所属】東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻


新型コロナウイルスの影響

コロナによって大学院生活もリモートが中心になった

 

―コロナ禍で学校生活はどのような変化がありましたか?

前期(2020年度)はずっとリモートでした。

ゼミの仲間とオンライン上でのやりとりはたまにありましたが、孤独な状況が続いていました。

大学に行きたい時もありましたが、自分が誰かに感染させてしまうケースも考えられたので、それが怖くて行きませんでした。

大学院2年生でオンライン上で気軽に連絡の取れる仲間がいたのでまだ大丈夫でしたが、これが大学1年生だったらと考えると辛い状況だろうなと思います。

ただどこかに行き来する時間がなくなった分、研究する時間や本を読んだりする時間が増えました。

オンラインでのやりとりが当たり前になったからこそ、久しぶりに連絡をとった人だったり、使ったツールだったりもあって、それらの点も良かったです。

 

これからの進路について

「地元愛が強かったこと」が地方公務員を選ぶ決め手

 

―今後はどういう進路に進みますか?

地方公務員の建築技師として働きます。

もともとは会社に入ることも視野に入れていましたが、コロナの影響もあり、就職活動がなかなか上手くいかない周りの人たちを見ていて、「自分は一度公務員になろう」と決めました。

それで試験を受けて合格したのが、地方公務員の建築技師でした。

転職が当たり前の時代なので、公務員になってみて違和感を覚えたら転職することも視野には入れています。

 

―地方公務員を選ぶ決め手は何でしたか?

「地元愛が強かったこと」です。

地元に本社を置く建築会社は規模が小さいところが多く、やれることが限られてしまうなと感じていました。

公務員であれば、地元をより良くするための活動をより広くできると思いました。

 

就活の際に悩んでいたこと

やりたいことがどこでできるかという情報を集めるのが難しかった

 

―就活を進めているときに悩みはありましたか?

就活を進める上で、自分の求めている情報を得ることが難しいと思っていました。

例えば、「やりたいことがあっても、それができる就職先はどこなのか?」という情報を集めるのは難しかったです。

できるところがわかれば、その企業や官公庁について詳しく調べることはできると思うのですが、そもそもどの企業や官公庁でやりたいことをやれるのかを知るハードルは高いと思います。

 

あとは、企業への就職という選択肢をほとんど考えていなかったので、公務員試験に落ちたときの不安はありました。

公務員になった先輩の中には、企業の内定も1、2社持った上で公務員試験を受けた人もいたので、「大丈夫かな?」と心配だった部分もあります。

ただやると決めたからにはやるしかなかったので、悩み過ぎず、公務員試験の勉強に集中していました。

 

―就活の中でコロナの影響で悩みはありましたか?

国家公務員試験が延期になったことで、地方公務員試験の試験日と時期が重なってしまったのは影響がありました。

地方公務員試験を受けるために東京に行ったのですが、その際に試験会場付近でクラスターが起こったというニュースが出ていたんです。

東京から帰ってきたこともあって、国家公務員試験を受けると誰かに感染させてしまう可能性もあるなと考えて辞退しました。

 

あとは地方公務員試験の試験内容が変わったことも大きな影響だったと思います。

筆記試験の教養部分がカットになって、試験の内容としては例年の半分ぐらいのボリュームだったので。

 

ただ旧態依然だった公務員のガイダンスがオンラインで行われたのは、個人的に感動しました。

面接自体もオンラインでも良かったのではとも思いますが……。

現場に一番近いところで、より良いものを作る仕事がしたい

 

―公務員以外の選択肢を選ぶとしたらどんな進路が考えられますか?

自分自身で起業をすればやりたいことをやれるだろうとは思っていました。

しかし、それも仲間がいない、具体的に何をすればいいかわからないという理由で、諦めてしまいました。

 

もともと建築業界に興味をもったのは宮大工になりたかったことがきっかけだったので、工務店にも興味がありますし、コンサルのように建物ひとつを作るのでなくスケールの大きなものを扱う仕事にも興味があります。

何年後かに地元に大きなスポーツスタジアムができる予定で、そこに行政か民間としてかはわからないですが、関連した仕事ができたら嬉しいと思っています。

現場に一番近いところ、例えば住民の声を聞きながら建築に携わるなど、町づくり関係の仕事がいいです。

 

―どんな会社であれば、興味を持ったと思いますか?

会社のことを調べたことがほとんどないので、思い浮かばないです。

周りから話を聞いて、「会社はこういうものなのか」としか考えていませんでした。

「この会社は給料がいくらぐらいだ」と周りの話を聞いたときに、嫌悪感を抱いてしまっていて、企業は稼ぐことが一番にあると思っていました。

「稼がないといけない」という思いで仕事をしてしまうと、自分は仕事を続けられないかもしれません。

もちろん稼ぐことも大切だとは思うのですが、それよりも「より良いものを作る」ことを念頭に仕事をしたいなと思っています。

そういった理由もあって、稼ぐことを企業よりも考えなくて済む公務員にしようと考え、それ以外の情報を集めることをほとんどしませんでした。

魅力的なインターン

課題をこなしていくようなインターンではなく、現場の人の声が聞きたい

 

―こういうインターンだったら行きたかったと思うものはありますか?

プログラムが組まれていて、何かしらの課題をこなしていくようなインターンではなく、仕事体験のような形で、現場で実際の業務に入れてもらえるようなインターンがあれば参加してみたかったです。

もちろん業務に入れてもらうことは難しいとは思うのですが、規模が小さい案件でも体験できたらいいだろうなと思います。

既存のインターンの多くは、実際の仕事の現場ではなく、インターンのために用意されてる場を見ることが多い気がしています。

公務員のインターンに参加させてもらったときは、実際の業務をしているところに参加させていただいて、仕事をしているやりとりを見させていただく機会がありました。

用意されている場ではなくて、いつもやっている実際の仕事現場を見れた感じがして、良かったです。

実際に仕事をしていく上で自分にこの職場は合うかどうかを判断する材料になるインターンあれば、参加したい学生は多いと思います。

例えば「こんなことを考えながら仕事をしています」と現場の人の声が聞けたらいいのではないでしょうか。

 

これからの建築業界について

建築を学ぶ学生がもっと広い業界で活躍するようになって欲しい

 

―これから建築業界はこうなると企業や学生にとってもよくなると思うことはありますか?

ぼくが東北大学に入学した理由は、震災にも負けないような強い建物を作るための勉強をしたいからだったのですが、今は都市計画や芸術というものにも興味が出てきています。

なぜなら建築だけで食べていくということが今後は難しくなるのではないかと思っているからです。

空き家問題が出てきているほど建物は十二分に建っていて、新しいものを作るというよりも、今あるものをどう活かしていくかの方が重要になっていると思います。

10年前ぐらいから今あるものをどう活かすかは考えられていて、以前は余っている建物に人が集まって盛り上がることが良いだろうと言われていました。

とはいえ今はコロナの影響もあって、ひとつの場所に集まって盛り上がることは良いかどうかが問われています。

この状況のなかで、どう新しいものを創造していくのかがこれからポイントだと思います。

 

だからこそ、建築を学ぶ学生には建築も学びながら、違うものにも触れられる余裕があるといいのかなと思います。

社会人になったタイミングで、「建築でしか戦えないです」という状況になってしまうのではなくて、建築以外の分野の人たちとも手を取り合うことができることが重要だと感じています。

今後は公務員として働いていくので、建築業界と他の業界が手を取り合えるような土壌を作ることがひとつの責務だと思っています。

 

―企業と学生はどういった関係性になればいいと思いますか?

通常は学生が企業にお願いをするような形で、就職活動があると思うのですが、企業側から学生に対してアプローチしていく活動もあってもいいのではないでしょうか。

ドラフト制度のようなイメージで、企業側が欲しい学生を指名して採用していく形など。

就職活動のルールも変化していくと思うので、今までとは全く違うような思い切った就職活動になると面白いと思います。

 

世間的に建築学生は建築家を目指すイメージが強いと思いますが、建築を学んだ人たちが建築家以外の仕事でどういう風に活躍しているのかなどを企業側が発信していってもらえると、建築学生に対するイメージも変わりそうです。

 

そうすると、より広い業界で建築学生が活躍できるようになると思っています。

難しいところはあると思いますが、建築学生に向けて、建築家以外の選択肢もあるというのを企業や大学が教えていってもらえると嬉しいです。

 


今回は大学院2年生の高橋さんのインタビューをお届けしました。

公務員の道を選択した高橋さんが就職活動中にインターンに参加して感じた「現場の人の声が聞きたかった」という意見や、今後の建築学生のキャリアについて、とても興味深いものばかりでした。

 

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