建築学生インタビュー Vol.3『熱意や人間性など目に見えないものも見てほしい』
「クリエイティブな仕事がしたい」とご自身の将来をしっかりと見据えている岩見さん。
大学4年生のいま、将来の進路、学校生活、建築業界の印象についてお聞きしました。
インタビュー対象者プロフィール
【名前】岩見 歩昂(いわみ ほたか)
【年齢】22歳
【所属】京都大学工学部建築学科4年生
これからの進路について
海外を目指す理由は、憧れ半分、お金半分
ー将来的にどんな進路を目指していますか?
アトリエ系の設計事務所、特に海外の設計事務所を目指しています。
具体的に言うと、日本人がやっている海外の設計事務所がいいですね。
海外である理由は、憧れ半分、お金半分です。
ーアトリエに行きたいのはどうしてなんですか?
もともと行きたかったのもあるんですが、アトリエのバイトとゼネコンのバイトに行ったときにアトリエの方が自分には合っていると思いました。
アトリエのバイトに行ったときの方が、緊張感があって、動きが活発な感じがしていいなと思ったんです。
ゼネコンのバイトに行ったときは、社内の雰囲気が合わないなと感じました。
ぼくが就職する上で重視しているのは、いかにクリエイティブな仕事ができるかということです。
そのため、今は半分憧れでアトリエを目指していますが、違う職種の方がクリエイティブな仕事ができるとなればそちらも考えると思います。
ー大学卒業後、院に進まれると伺っていますが、就活か院に進むかで悩みましたか?
一番悩んだのは、「院に行く目的は何か」という点でした。
はじめは大学を卒業したら、院ではなく、海外インターンに1年ぐらい行きたいと思っていたんです。
院でアカデミックな知識を身に付けることに価値をあまり感じていませんでした。
しかしある大学の教授に将来の話を聞いてもらい、その考えが変わっていきました。
教授から聞いたのは「なんでもない22歳と大学院生という肩書をもった22歳とは実は全然違う。1年インターンに行きたいんだろうけど、経歴として1年間があくと意外とネックになるよ」という話でした。
そこで、行く理由はなくても、行かないことによるマイナスがあるなら、行ってもいいかと思うようになりました。
また、三回生の後期で3ヶ月海外インターンに行った際、意外にすんなりと行けたことから、別にわざわざブランクを開けてインターンに行かなくても、交換留学等を利用してインターンを兼ねられるかなと思ったって部分が大きいです。
あとは京大生という特権をいかすなら、院を出ておいた方が箔がつくだろうとも思っています。
新型コロナウイルスの影響について
オンライン授業はプラスでした
ーコロナの影響で海外は行きづらいと思うのですが、コロナについて思うところはありますか?
個人的には考えても仕方ないし、来年には状況が変わっているのかと思っています。
もしこのまま海外に行けない状況が続いても、資格の取得や研究など日本でやりたいこともたくさんありますし、日本で就職してその後、海外に行けるようなキャリアを積むと思います。
ーコロナによる学校生活の変化はありましたか?
ありましたね。大学の授業がオンラインになった大きな変化はぼくにとってはプラスでした。
オンライン授業だと端末ひとつで授業が受けられますし、授業に必要な資料が電子ファイルなので整理も楽でした。
大学に行くことで、友達に出会ったり、教授と話をしたり、そういう部分が失われてしまったのは残念でしたが、授業だけを考えるとオンラインの方が受けやすかったです。
そう考えるとオンラインとオフラインのハイブリッドみたいな形が一番いいかもしれません。
4年生でタイミングが良かったのもあるかもしれません。
もし3年生だったら、製図室も使いたかったので、嫌だったと思いますし、1年生や2年生だったら、コミュニティがまだできあがってない状態でオンラインになるのは辛かったと思います。
どんなインターンに魅力を感じる?
熱意や人間性など目に見えないものも見てほしい
ーインターンシップには興味がありますか?
そうですね、行きたいと思っています。
インターンを通して実務を経験しておきたいですし、お金を稼ぐ術としてインターンができればベストです。
日本によくある1dayインターンなどではなくて、社員さんぐらいの感覚でいきたいと思っています。
ただ「海外でのインターンをどうやって見つけるのか?」という点は少し不安に思っています。
ーインターンの情報のなかで重要度の高いものはなんですか?
海外ならではの悩みかもしれませんが、お給料とビザですかね。
海外での滞在をどう実現させるかを考えた時にやっぱりお給料やビザが問題になりそうなので、そこの情報が一番欲しいです。
あとは海外だけではなくて、日本のインターンでもそうですが、どうすれば受かるかという情報も欲しいですね。
もちろんこれをすれば受かるみたいな情報は出せないとは思うんですが、採用担当の方の話を詳しく聞いてみたいと思っています。
ポートフォリオのような作品だけではなくて、どういう人間性がいいのかを教えてもらえたら嬉しいです。
個人的には資格はあると、周りよりも目立てるし、この学生はこういう学生なんだという証明になると思ってますが、
資格を含めた目に見えるものだけではなくて、熱意だったり、人間性だったり目に見えないものも見てほしいです。
建築業界について思うこと
大衆受けするものと自分の作りたいもののバランス
ーこうしたらもっと日本の建築業界がよくなると思う点はありますか?
建築や美術に興味のない人が日本には多いと思います。
それゆえに建築家が作る建築物が減ってしまっている気がします。
一方でリノベや改修が最近増えてきていて、思想のないそれっぽいものが評価されてしまっているのが残念です。
SNSなどを見ていても、単純でわかりやすい建築ばかりが拡散されている現状があると思います。
それを利用して、商業的な分野の人たちがリノベや改修を行い、建築家は稼げなくなってしまっているのではないかと懸念していますね。
とはいえ、建築家も、時代に合わせることは必要になってきていると思います。
大衆受けするような建築もしつつ、自分の作りたい建築も作る。
その両方をバランスよくしていくことが建築家としてこれから生き残るためのひとつの手段なんだと思います。
まだ学生で夢を見ている部分もあるかもしれません。
それでも当面は現実を直視せず夢を追いかけていこうと思います。
今回は大学4年生岩見さんのインタビューをお届けしました。
憧れと金銭的な理由から海外でのキャリアを目指されているお話や、インターンシップに社員同様の感覚で臨みたいことなど、興味深いお話を伺うことができました。
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